股関節鏡紹介

診療・各部門

股関節鏡手術について

 股関節鏡手術は、2,3か所に約5mmの小さな穴から内視鏡を入れて股関節を治療できる新しい小侵襲手術法です。適応は変形性股関節症が進行する前の股関節痛の原因となる股関節疾患で主に股関節唇損傷大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAIS)に対する手術が多く、滑膜性骨軟骨腫、股関節内遊離体、化膿性股関節炎等様々な股関節内疾患から最近では様々な股関節外疾患に対しても手術可能になってきてます。当院では数少ない日本股関節学会認定の股関節鏡技術認定医が厳密な適応の元、適切な手術を行っております。さらに日本人女性に多い寛骨臼形成不全症に対する低侵襲手術法として股関節鏡視下に寛骨臼の屋根を形成する股関節鏡視下棚形成術も積極的に行っており良好な結果を得ています。

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手術風景

股関節唇損傷

 股関節唇は股関節の骨盤側の骨の縁にある柔らかい線維組織で股関節を安定させるのに重要な組織です。これが切れると股関節痛の原因となり股関節の安定性も損なわれます。治療は外来での運動療法、注射や内服薬による保存的加療が基本になりますが、改善が悪い場合は根本的治療である股関節唇縫合術が適応になります。具体的には内視鏡下にアンカーを用いて股関節唇を再縫合します。

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大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAIS)

 股関節の形態は個々様々で大腿骨頭から頚部の骨が膨瘤するカムタイプや屋根側の骨が出っ張るピンサータイプ、両方が出っ張るミックスタイプ(図参照)があり、このような形態の場合股関節を曲げたり開いたりする際に骨同士が衝突し股関節唇や軟骨を痛めて股関節痛が生じることがあり、このような病態を大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(FAIS)と呼びます。特に大きなカムタイプは軟骨損傷による変形性股関節症進行の原因になるため早期に手術加療が必要になる場合もあります。運動療法、注射や内服による保存的加療が基本になりますが、良くならない場合は根本的治療である手術加療が適応となります。手術は股関節唇縫合に加えて股関節唇や軟骨損傷の原因となるカムを内視鏡下に切除(図参照)します。カムを切除するためには股関節を覆っている股関節包を一部切開して最後に縫合しますが、当院では股関節包の後方のみを必要最小限に切開し前方の安定性に重要な腸骨大腿靱帯垂直線維を温存する低侵襲手術法を用いているため、従来法よりさらに低侵襲で回復が早くより患者さんの満足度が高い手術になっております(図参照)

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股関節鏡視下棚形成術

 屋根の骨の被りが浅い寛骨臼形成不全症に対して適応になる手術法です。寛骨臼形成不全症は、遺伝的に日本人女性に頻度が多いのが特徴です。股関節痛に対する保存的加療が効果ない方には、腸骨から採取した骨を寛骨臼前外側に作製したほぞ穴に挿入して、棚のような屋根を作製する従来の棚形成術(皮膚や筋肉を大きく切開して行っていた)を股関節鏡を使用して低侵襲に行う事を可能にした新しい手術法です
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