[腎センター内科]後期研修医募集(メッセージ)

“最高の舞台”を


医療のみならず、どんな領域でも標準以上のものを目指すのであれば取り巻く環境が重要です。当センターは、個々の能力や志を最大限に発揮出来るような持続的な刺激を研修医諸君に与えうる、“最高の舞台”を提供できると考えています。

1.圧倒的な症例数

研修の目的が経験を積むということであるなら、一定の期間でいかに多くの症例にあたることができるかは非常に重要です。腎臓内科が守備範囲とする対象疾患は、原発性腎疾患(急性及び慢性腎炎、ネフローゼ、尿細管機能異常など)、急性腎不全、慢性腎不全(保存期、血液透析や腹膜透析の管理)に加え、膠原病、糖尿病や肝疾患などの二次性腎疾患も含まれ極めて多岐にわたります。ここまで多様な疾患でありますが、当センターであれば十分経験を積むことが可能です。

2.数、質ともに充実の腎生検

当センターで行われる350-400件/年の腎生検はすべて開放性腎生検です。その利点は出血というリスクを極力抑えるという安全面の配慮からのみならず、十分な組織を採取することで的確な診断と予後の推定に役立つということ、また経皮腎生検ではリスクが大きいとされる腎機能障害例などにも躊躇なく施行できるという点です。加えて当センターでは病理医に診断を委ねることはせず、治療にあたる臨床医自らが組織を判読しています。一年間に担当した症例の組織を読み込むだけでも相当の実力を身につけることができます。

3.“最後の砦”故に集まる透析合併症例

当センターでは年間約250例の透析導入を行っていますが、全国的に透析患者数の増加に伴いその合併症も増える一方です。当センターはその施設規模から地域の“最後の砦”と認識され県内のほぼ全ての施設から合併症を併発した維持透析患者さんを受け入れています。合併症は極めて多彩ですが、1年研修するだけでもそのほぼすべてを経験でき、症例を繰り返すことで透析患者独特の補液管理、薬剤投与法が自然と身に付きます。また特筆すべきこととして当院の放射線科では年間1200例のシャントトラブルに対するPTA(シャント血管狭窄拡張術)、PTR(血管再開通術)が行われています。インターベンションに興味のある方にはその研修をカリキュラムに組み込むことや、重点的に行うことも可能です。

4.ブレイクスルーを生み出す主治医制

当センターは創設以来、各患者さんに一人の医師が担当となり、診断、検査、治療に責任を持つ主治医制を採用しています。一見複数の医師が合議をして診療をすすめるチーム性の方がより合理的と思えますが、時として責任の所在が曖昧になったり、問題の先送りが生じたりします。さらに最大の問題として、チームのなかで年長者の意見に従う傾向となり、若手の医師が自ら考える力を養うことは真の意味では不可能となります。単なる傍観者ではなく、責任を与えられた厳しい状況で自分なりに判断を下すことを繰り返すことでこそ本当の臨床力が身につくと考えるのです。もちろん経験の少ない医師の判断を助けるためのサポート体制は別項のように充実しており、広義のチーム制と捉えることもできます。また当センターから世界に発信した治療として、“糖尿病性腎症に対するACE阻害薬の効果”、“IgA腎症に対する扁摘+ステロ
イドパルス療法”が拳げられますが、いずれも現在当センターの中核をなす医師の、若い時の斬新な発想が生み出したものです。チーム制のもとに上級医が“それは常識的でない”とブレーキをかけていれば決して生まれなかったものなのです。主治医制をしくことで、EBMに満足することなく、より良い治療法を生み出すことにつながる若手医師の斬新な発想(ブレイクスルー)を今後も期待しています。

5.豊富なスタッフ数

当センターの正式名称は腎臓疾患臨床研究センターであり、その設立趣旨から専属スタッフを有する研究部門が併設されています。そこではルーチンには行われない腎生検組織の特殊染色や、当センター独自の検査である尿中マクロファージの測定などが行われています。もちろん、新しいアイデアで研究を始めることも可能です。


研修の実際


まずシステムに慣れる必要があり一定の期間上級医と一緒に患者を受け持ちます(二人主治医)。この期間は受けてきた初期研修の内容にもよりますが、おおむね3ヶ月位です。この期間に指示の出し方や基本的な考え方、腎生検やシャント手術の手順を助手として学びます。その後は独立して一人主治医となります。多少変動はありますが、大体10-15人位の患者さんを常時受け持つことになります。腎生検やシャント手術はそれまでの習熟度合いによっては術者となることもあります。定期的に行われる新入院症例検討会(週1回)、早朝症例相談会(週2回)、腎生検組織検討会(週1回)などを有効に利用して診療をすすめることになります。それ以外でも判断に困る症例はいつでも上級医が相談にのりますので安心して下さい。慣れてくると学会発表をする余裕が生まれてきます。多くの症例がありやる気があれば複数会の発表も可能です。
もちろん最初は大変で、だれもが必死です。しかし一年後にはゆとりも感じられるようになり成長を実感できると思います。

一般的には上記となりますが、下記に示すようなさまざまな状況の方を受け入れており、実際には個々の希望に応じ柔軟に設定することになります。研修期間も1から3年とまちまちです。

A. 腎臓内科医として生きていくことを既に決めている方へ

腎臓内科医として一流を目指すのであれば、その初期段階で何を見聞きし、また感じることが出来るかは極めて重要です。実際に治療した者でなければ、現在“常識的”とされている治療の本当の効果や限界を実感することはできません。教科書や文献を読むことで知識を仕入れ“論評する”ことは可能です。しかしそれは“一流の評論家”であっても、“一流の医師”ではありません。たくさんの症例を丁寧に診療することのみが、現状の正しい認識を可能にします。そして全力を尽くしたにもかかわらず良い結果が得られず、限界を悟ったとき初めて次への強烈なモチベーションが生み出されるのです。当センターで研修することで、有効な刺激を受け続け、次のステップを形成して頂ければと思います。

B.初期研修終了後の進路をまだ決められない方へ

わずか二年の初期研修でその後の進路を決定するのは難しいこともあります。そのような、決定までにもう少し時間が必要な方にも少し役立てるかもしれません。なぜなら、例えば慢性透析患者さんを管理するとなれば、その合併症の多彩さより、循環器、消化器、呼吸器、血液、内分泌などかなり広い知識が要求されることになり、内科全般の知識が必要な状況となるからです。腎臓をメインとしながら内科全般の研修を継続することとなり、その中で今後の専門分野をじっくり選ぶことも可能です。また今後高齢化がますます進むにつれ、どの科に進んだとしても合併症として腎機能低下を伴う患者さんを治療する機会は増えます。腎機能低下を伴う患者さんは投薬に際し減量が必要な薬物があるなど、特別な配慮が必要です。勤務している病院にすぐに相談できる腎臓内科医がいるとは限らず、自分で判断を要求される機会がありその際当センターでの経験が生きてくると考えます。

C. 大学院あるいは海外の研究機関で基礎研究に従事する予定の方へ

基礎研究の知見が臨床面に飛躍的な恩恵をもたらすこともあり、非常に意義のある領域と思われます。しかし、若い時期の貴重な時間をさいて研究に没頭するわけですから、研究結果が医学誌にアクセプトされたということに満足するだけでなく、得られた結果が臨床に、すなわち患者さんの治療に何らかの形で役立つものであればより望ましいと思われます。これから実験生活に入るその前の一時期に多くの腎臓病患者さんの治療にかかわることは、その後の研究テーマを選定する上で重要な発想を提供し得ると思うのです。当センターで経験をつむ事で、研究のための研究ではなく、診療に役立つ研究を目指して頂ければと思います。
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